研究課題
基盤研究(C)
【はじめに】排卵の機構は、いまだ明らかではない。本研究は、排卵時に変動する遺伝子をDNA micro-arrayを用いて分析して、その中で注目すべき遺伝子について、免疫組織化学的染色を施して、卵細胞のどの細胞に、何時、発現または消退しているのかを観察して、排卵機構を検討した。【材料と方法】実験は、Wistar系ラット(♀)を二群に分けた。第一群は、生後0日目から42日目めでの卵細胞の変化を免疫組織化学的染色(apoptosis, cell cycle, sexual hormone, vascular endothelium)を施して観察した。第二群は、生後24日目にpregnant mere's gonadotropin (PMSG)を投与し、その一部にはPMSG投与48時間後にhuman chorionic gonadotropin (hCG)を投与した。生後26日目の無処置ラットを対照に、PMSG投与48時間後、PMSG/hCG投与10時間後に、それぞれ、5匹からpentobarbital麻酔下に卵巣を摘出して生化学的にmRNAを抽出し、DNA micro-arrayを用いて遺伝子の変動を分析した。また、同じ試料採取時期の卵巣を、第一群と同様の免疫組織化学的染色を施して観察した。【結果】第一群では、生後0日目から3日目までと、生後25日目から30日目までの二回、卵は、apoptosisにより選別された。第二群では、PMSG投与により全ての卵細胞は増殖状態になり、apoptosisは抑制された。hCG投与により、PMSG投与により増加していたCyt P450aromは減少し、血液凝固・止血系、蛋白分解酵素類、種々のcytokine、prostaglandin cascade酵素系、S100 calcium binding protein類の増加が認められた。【考案ならびに結語】DNA micro-array分析の結果、変動がみられた多くの遺伝子は、現在、排卵時に関与するといわれているものと同じであった。本研究で明らかになったことは、第一に、未成熟期において、卵は、二回の選別を受けた後、成熟して一定の性周期を向かえること、第二に、排卵直前(hCG投与後)に種々のS100蛋白が著明に増加することが判明した。S100蛋白の卵巣での作用機序は未だ明らかではなく、S100蛋白の機序解明が、今後の研究課題として与えられた。
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