研究課題/領域番号 |
15590161
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
和泉 伸一 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (40264246)
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研究分担者 |
菱川 善隆 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (60304276)
高野 邦雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80050029)
小路 武彦 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30170179)
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キーワード | 転写因子 / 遺伝子発現 / 組織化学 / エストロゲン / プロラクチン / ノックアウトマウス / ジエチルスチルベストロール / DNA |
研究概要 |
本年度は、エストロゲン作用物質がプロラクチン細胞の転写調節因子であるエストロゲン受容体(ER)やPit-1を介してプロラクチン遺伝子の発現を調節するか否かをin vivoで検討した。雄性6週齢の野生型マウス(WT)ならびにエストロゲン受容体αノックアウトマウス(ERαKO)に、合成エストロゲンであるジエチルスチルベストロール(DES)を各種濃度で5日おきに4回皮下に投与した。下垂体を摘出してパラフィン包埋組織切片を作製し、エストロゲン受容体結合領域(エストロゲン受容体レスポンシブエレメント)をその遺伝子DNAに有する下垂体ホルモンの免疫組織化学を行ったところ、WTのDES投与群ではプロラクチン(PRL)陽性細胞の増加と、それに反比例するようにFSH/LH陽性細胞の減少が濃度依存性に認められた。ERαは正常(溶剤投与)なWTのPRLおよびFSH/LH細胞の核に認められたが、DESを投与した群のPRL陽性細胞ではERαは濃度依存性に減少し、替わってERβが濃度依存性に誘導され増加した。ERαKOの正常(溶剤投与)群の下垂体当該細胞の核にはERβが存在し、DES投与によるERβ、PRLあるいはFSH/LH陽性細胞数には変化がなかった。Southwestern組織化学によるDNA結合能のあるPit-1陽性細胞の数は、WTのDES投与群で増加する傾向にあった.またWTのDES投与群では、Ki-67が陽性なPRL細胞の増殖は少なかった。以上の結果から、WTにDESを投与するとPRL遺伝子の転写の促進があり、そのときPRL産生細胞の核にERβとERαの増減と置換およびPit-1が増加し、転写調節因子の量と質が調節されていることが示唆された.培養細胞におけるこれら転写調節因子の核内での量の人為的調節を来年度に施行する予定である。
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