研究課題
本年度は、1)プロラクチンを産生するGH3培養細胞を用いて、Pit-1が結合するプロラクチン遺伝子の調節エレメントをあらかじめ合成し標識した核酸プローブを細胞外から核内に導入して、Pit-1の当該遺伝子の調節エレメントへの結合部位をブロックした後に、プロラクチン遺伝子の転写が抑制されるか否かを、Pit-1およびエストロゲン受容体の核内分布との関連で検討した。Pit-1およびエストロゲン受容体の核内分布をSouthwestern組織化学法の光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルで検出する技法の確立を検討した結果、シグナルの増加にはオートクレーブの前処理が有効であった。Southwestern組織化学法および酵素抗体法のいずれの方法でも、Pit-1およびエストロゲン受容体を核に有するGH3培養細胞はプロラクチンをその細胞質に保有していた。超微形態的にはDNA結合型のPit-1およびエストロゲン受容体は異染色質に近い正染色質に分布していた。このことは、正常なGH3培養細胞では、プロラクチン遺伝子が転写し得る核内部位にPit-1およびエストロゲン受容体は局在していることを示唆している。Pit-1が結合する合成核酸プローブを導入したときのプロラクチン遺伝子の転写の抑制あるいはエストロゲン作用物質の添加によるプロラクチンン遺伝子の転写の活性化がPit-1およびエストロゲン受容体の核内分布を変化させるかという問いに関しては、それらの導入濃度および導入後の時間を現在検討中である。2)マウスにエストロゲン作用物質を投与すると下垂体にプロラクチン細胞が増加するので、マウスの下垂体に上記の合成核酸プローブを導入しエストロゲン作用物質を投与したマウスでは、プロラクチン遺伝子の転写が抑制できるか否かというin vivoでの検討は、現在進行中である。
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