研究概要 |
前年度の(1)光顕的急速凍結試料によるプロトンポンプの免疫染色.(2)電顕的高圧凍結試料による給食・絶食時の超微形態の比較.(3)プロトンポンプとエズリンの染色陽性細胞の胃底腺内分布部位の特定の結果,給食・絶食時のプロトンポンプのα,βサブユニットの分布は細胞の大きさ,染色強度に差はあるが胃小窩底部,胃底腺頚部,体部を通してみられた.しかし,リン酸化/非リン酸化エズリン免疫染色比較では,リン酸化エズリン分布に差のある事が把握されていた. そこで今年度は『腺内の高さ位置と機能の関係』をさらに追求するため,(3)を優先した.(1)光顕的に連続・ミラー切片等によるプロトンポンプとリン酸化/非リン酸化エズリンの分布比較.(2)追求の深達を目指しCl^-チャンネルの免疫染色を行った.(3)電顕的には細管小胞の三次元電顕による再構築等を行った. 今年度実績として,(1)プロトンポンプとリン酸化エズリン免疫染色を連続・ミラー切片で対応させると給食・リン酸化エズリンの組み合せで、腺頚部域から腺上部1/3に強い染色が見られ非リン酸化エズリンでは大きな差は見られず酸分泌における機能局在が示唆された.(2)Cl^-チャンネル免疫染色では,抗C1C-3抗体で特異的に腺上部から頚部にかけて強い反応が見られ次の検索への足掛かりが得られた.(3)超微形態的三次元復構法により細管小胞の三次元復構を新たな三次元復構解析ソフトで行い細管小胞の三次元構築の新しいデータを得たが細管小胞の大きさと超微形態的三次元解析ソフトの組み合わせに馴染まない部分がありクリアカットな三次元復構は今後に問題を残した. 以上はWakamatsu et al.: Acta Histochem. Cytochem. 38:331-337 (2005)と平成17年6月の国際顕微鏡学会(金沢),8月の国際解剖学会(京都)等で発表した.
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