研究課題/領域番号 |
15590167
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
|
研究分担者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50264875)
伊藤 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (30315931)
白澤 信行 山形大学, 医学部, 助教授 (40133392)
|
キーワード | 胃 / 肝臓 / アロマターゼ / エストロゲン / ステロイド / 代謝酵素 / ラット / 門脈 |
研究概要 |
消化管の1つである胃は、これまで摂取した食物の消化器官として考えられていたが、ラットを用いた我々の研究から、女性ホルモンであるエストラジオールが胃酸分泌細胞として知られている壁細胞で多量に産生され、門脈血中に分泌されることを見出している。壁細胞ではエストロゲン合成酵素であるアロマターゼの蛋白とmRNAが存在し、高いアロマターゼ活性を示すことを、免疫組織化学、電子顕微鏡、in situ hybridization、RT-PCR、薄層クロマトグラフィー、GC-MS法などの手法を用いて明らかにしている。さらに、胃壁細胞におけるステロイド代謝酵素のmRNAの局在を調べ、雄ラットではP450_<17α>、17β-HSD type III、P450_<arom>が主として存在し、17β-HSD type II、5α-reductase type I、3α-HSDの発現は弱く、P450_<scc>、3β-HSD、P450_<c21>、P450_<11β>、P450_<AS>は見られないことを明らかにしている。動脈血にはプロゲステロンとテストステロンの濃度が高いことから、ラット胃壁細胞は動脈血中のプロゲステロンあるいはテストステロンかアンドロステンジオンから、17β-エストラジオールとエストロンを合成し門脈血中に放出していることが示唆された。本年度は、発達に伴うラット胃壁細胞でのアロマターゼの発現を調べ、出生後の哺乳開始からアロマターゼが発現し始めることを見出した。さらに、ヒトとサルの胃では、ラットとは異なるステロイド代謝経路が存在することを示す結果を得ており、胃の壁細胞におけるステロイド代謝には動物種差があることが考えられるので、この点について現在検討を進めているところである。
|