本研究の遂行にあたり約500個のアカウミガメの卵を必要とするが、アカウミガメが保護野生生物種であることからその採取には採補地の県知事の許可を必要とし、年間の許可総数は一腹(約100個)に限られている。以上の理由から、研究に必要とする標本の発生段階を4期に分け、4年間で一連の発生標本を揃えることとした。鹿児島県屋久島田舎浜にて保護団体の指導の下に15年度は99個の卵を得て標本を作製したが、約5割強の卵が輸送中に死卵となって研究に使えなかった。16年度はこの不足分を補うため特別の採補許可を取り2腹(総数227個)の卵を得た。 結果:15年度の不足分と16年度の予定標本について段階毎に血管内色素注入標本と樹脂鋳型注入標本作製を試みた。16年度予定数を得て必要な観察を行ったが、15年度の不足分を完全に補うには至らなかった。17年度は予定標本数を確保し15年度不足分を補うため、再度の特別採補許可を得るとともに、採取、輸送、飼育方法に改良を加え卵の生存率を上げる事を予定している。以上、本研究を完遂するに必要な標本の作成とその観察を継続して行った。
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