研究課題/領域番号 |
15590186
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
小坂 博昭 国立大学法人香川大学, 医学部, 教授 (60158897)
|
研究分担者 |
五十嵐 淳介 国立大学法人香川大学, 医学部, 助教授 (20346638)
藤井 重元 国立大学法人香川大学, 医学部, 助手 (00325333)
|
キーワード | Nitric oxide / NADPHオキシダーゼ / 活性酸素 / NO合成酵素 / アルギニン / スフィンゴシン1リン酸 / S1P1 |
研究概要 |
組織への酸素供給システム成熟化は、創傷治癒時や、微少循環における血管閉塞や再灌流後の側副枝の血管新生においても、組織への酸素供給という観点から重要な問題であることは論をまたない。スフィンゴシン1リン酸(Sphingosine 1-Phosphate、S1P)は血小板に由来する脂質成長因子であり、血管内皮細胞のG蛋白結合型受容体であるS1P1(EDG-1)を介して、血管新生・成熟を促す。申請者達は、活性酸素(Reactive Oxygen Species、ROS)が内皮細胞におけるS1P1の発現レベルにどのような影響を与えるのか検討した。結論から言うと活性酸素はS1P1の発現を亢進させた。具体的にはウシ大動脈由来の内皮細胞(BAEC)においてROSの一種である過酸化水素を細胞外から投与すると、用量依存的にかつ極めて急性な(15分で)S1P1蛋白質発現レベルの増加が観察される。過酸化水素によって前処置され、S1P1を多量に発現したBAECでは、S1Pに対する反応性が有意に亢進していた。申請者達は高血糖の環境では活性酸素の産生が増加していることを明らかにした。更に高血圧のモデルラットではNADPHオキシダーゼの発現が亢進して活性酸素の産生が増加していること、NO合成酵素の基質アルギニンの投与ではNOの生成が増加して、この活性酸素の増加を打ち消すように作用することを明らかにした。NADPHオキシダーゼの発現が亢進しているような条件下では、内皮細胞のS1P1受容体蛋白質発現増加を介して血管新生を促進させる可能性が示唆され、シンドロームXとの関わりも視野にいれながら、さらに研究を進展させてゆきたい。
|