研究課題/領域番号 |
15590190
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岡田 泰昌 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (80160688)
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研究分担者 |
桑名 俊一 帝京大学, 医学部, 講師 (70129998)
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キーワード | 中枢化学受容 / 延髄 / ニューロン / アセチルコリン / コリンエステラーゼ / 呼吸調節 / カリウムチャネル / 膜電位イメージング |
研究概要 |
平成17年度には、まず、摘出脳幹標本を用いた解析により細胞外カリウム濃度が呼吸のCO2興奮性を規定することを明らかにした(Okada et al.2005)。また、低O2感受性にカリウムチャネルが関与するか否かをATP感受性カリウムチャネル遺伝子ノックアウトマウス(Kir6.2ノックアウトマウス)の低酸素呼吸応答より解析し、カリウムチャネルは呼吸の化学調節において重要な役割を果たしていることを報告した(Oyamada et al.2006)。さらに、中枢性呼吸調節におけるGABAの役割を明らかにするため、生きた状態でGABA作動性ニューロンを同定しうるGAD-GFPノックインマウススライス標本にホールセルパッチ記録法を応用し、延髄内で特にプレベッチンガー領域においてGABA作動性ニューロンが呼吸リズム形成などの呼吸調節機構において重要な働きをしていることを明らかにした(Kuwana et al.2006)。また、延髄スライス標本において、蛍光膜電位感受性色素を用いた膜電位イメージング解析を行い、延髄吻腹外側表層部、延髄吻腹側正中表層部がCO2興奮性を有することを認めた。そして、脊髄スライス標本において、後角(特に第III〜IV層)が低O2感受性を有する(低O2によりシナプス伝達効率が低下し神経活動が低下する)ことを明らかにした(Fukuda et al.2006)。そして、これらの解析結果を総合して、中枢化学受容体の微細形態について考察を行い、延髄腹側最表層部において延髄表面から深部へ向かう小血管の周囲を取り巻く小型細胞がCO2リセプター細胞であり、延髄腹側の浅い位置に存在する神経細胞がアセチルコリンを伝達物質として中継を行い、延髄深部の呼吸神経回路網へと情報が伝達されていくという中枢化学受容体の形態構築モデルを提唱した(Okada et al.2006)。
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