研究課題/領域番号 |
15590198
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松尾 理 近畿大学, 医学部, 教授 (40030879)
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研究分担者 |
上嶋 繁 近畿大学, 農学部, 教授 (30193791)
岡田 清孝 近畿大学, 医学部, 講師 (20185432)
河尾 直之 近畿大学, 医学部, 助手 (70388510)
岡本 知可子 近畿大学, 医学部, 助手 (90368291)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2004
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キーワード | 血液線溶系 / 血管内皮細胞 / 組織性プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA) / t-PA受容体 / 遺伝子組換え |
研究概要 |
臍帯静脈由来の血管内皮細胞より単離、精製したt-PA receptor(t-PAR)は、t-PAと特異的に結合し、t-PA/t-PAR複合体を形成することが確認されている。そこで本研究では、recombinant t-PAR(rt-PAR)を作製し、t-PAとの相互作用について検討した。また、培養血管内皮細胞上に存在するt-PARとt-PAの結合反応を生体分子間相互作用解析装置(IAsys)により解析した。 Glutatione S transferase(GST)発現ベクターにt-PARをコードするcDNA断片を組込み、GSTタグとの融合タンパク質としてt-PARタンパク質を発現させた。融合タンパク質のGSTタグはproteaseによる酵素処理によって遊離させ、rt-PARを得た。このrt-PARとt-PAの結合がリガンドブロッティングによって確認され、t-PAがt-PARに結合することを明らかにした。また、IAsysを用いた相互作用解析において、t-PAと培養血管内皮細胞の結合シグナルは細胞の濃度依存性に増加した。このように固相化したt-PAに対する血管内皮細胞の特異的結合をバイオセンサーシステムで解析することが可能であった。t-PARは血管内皮細胞表面にt-PAを局在させることによってプラスミノーゲンの活性化を促進し、細胞周辺の線溶活性に影響を及ぼすと考えられた。 培養血管内皮細胞をEACAで前処置したところ培養血管内皮細胞とt-PAとの結合シグナルが低下し、EACAの濃度依存的に培養血管内皮細胞とt-PAとの結合が阻害された。したがって、t-PARとt-PAの結合にはt-PAのリジン結合部位が関与していることが確認された。一方、receptor associated protein(RAP)の前処置は培養血管内皮細胞とt-PAとの結合に影響を及ぼさなかった。この結果から、t-PAと培養血管内皮細胞との結合にはlow density lipoprotein receptor related protein(LRP)が関わっていないことが示唆された。また、t-PAの結合タンパクとして報告されているAnnexin IIおよびα-enolaseのポリクローナル抗体で培養血管内皮細胞を前処置しても、培養血管内皮細胞とt-PAとの結合が阻害されなかったことから、t-PARはAnnexin IIおよびα-enolaseとは異なる新規な物質であることが明らかにされた。
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