研究課題/領域番号 |
15590200
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
井上 真澄 産業医科大学, 医学部, 教授 (40223276)
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研究分担者 |
遠藤 豊 産業医科大学, 医学部, 講師 (90194050)
小川 皓一 福岡大学, 医学部, 助教授 (60078780)
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キーワード | IP3受容体 / 小胞体 / 分泌顆粒 / 副腎髄質細胞 / ムスカリン受容体 / 細胞内Ca動員 / イムノプロット / 免疫細胞化学 |
研究概要 |
ラット副腎髄質細胞には主にIP3受容体タイプ2が存在する。そこでIP3受容体タイプ2が分布する細胞小器官を同定するためにIP3受容体タイプのモノクロナール抗体であるKM1083とポリクロナール抗体であるChemicon社の抗体を用いて免疫細胞化学を行った。Chemicon社抗体に対する免疫反応物は核近傍と細胞辺縁に分布し、これらの免疫反応物はほとんどBODIPY-IP3に対して結合能を持っていた。一方、KM1083に対する免疫反応物のうち、核近傍に分布するものは結合能を持っていたが、細胞辺縁に細長く分布するものは結合能を持っていなかった。この細胞辺縁に細長く分布するものは、抗calnexin抗体では染色されず、抗-dopamine-β-hydroxylase抗体により染色された。これらの結果はChemicon社の抗体に対する免疫反応物は小胞体に分布するが、KM1083に対する免疫反応物は小胞体ばかりでなく分泌顆粒にも分布することを示している。Chemicon社の抗体は、イムノプロットにおいて約250kDaのIP3受容体タイプ2だけを認識したが、KM1083は250kDaばかりでなく、約200kDaの蛋白も認識した。ムスカリン受容体刺激による細胞内Ca動員はSERCAポンプ抑制薬のthapsigarginの前投与に完全に抑制された。さらに、BODIPY-thapsigarginの結合部位は、抗calnexin抗体に対する免疫反応物の分布部位とほとんど一致した。以上の結果より、IP3受容体タイプ2は小胞体に分布することが明らかになった。KM1083は小胞体に分布するIP3受容体タイプ2ばかりでなく、分泌顆粒に分布するIP3受容体タイプ2類似の蛋白も認識している可能性が示唆された。
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