視床下部腹内側核(VMH)は、古くから満腹中枢として知られ、視床下部室傍核(PVN)は、近年摂食を制御する中心的な存在として注目されている。VMHとPVNにおける免疫組織化学を行い、VMHに、オキシトシンレセプター、オレキシンレセプタータイプ1、エストロゲンレセプターαが、PVNに、オレキシンレセプタータイプ1とエストロゲンレセプターβの存在を確認した。現在、二重染色によるそれらの共存、およびそれぞれの発現に対するエストロゲンの影響について検討中である。 摂食行動に関しては、7週齢の雄ラットにおいて絶食後のオキシトシン脳室内投与では著名な抑制効果は観察されなかった。摂食量の測定方法および絶食条件を工夫し、あるいは、摂食を促進する因子であるNPYを投与したラットにおいて、オキシトシンの効果を検討している。 自発行動に関しては、雄ラットのVMHにオキシトシンを微量注入したところ、回転ケージの回転数を指標とした行動量に有意な増加が観察された。VMHへのオキシトシン作用が明らかになったとともに、この手法が有効であることが確認されたので、次に、雄ラットにおけるオキシトシンアンタゴニストの効果と卵巣を摘出した雌ラットにおけるオキシトシンの作用およびエストロゲンとの相互作用について検討している。 ラットの覚醒と睡眠を明瞭に区別するため、脳波の測定を行なった。当大学医学部麻酔蘇生学教室で行なっているラットの脳波測定の手法を用い、オキシトシン脳内投与および乳仔の吸乳刺激による変化についてデータを収集している。
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