研究1 (1)ラット下垂体細胞を用いて、Ki67、エストロジェン受容体(ER)、およびプロラクチン(PRL)の3重免疫蛍光染色法を確立した。 (2)エストロジェン投与によって増殖を促進させた時には増殖PRL細胞中のER陽性細胞率が低下した。このER陽性細胞率はIGF-1存在下にエストロジェンを投与して増殖を抑制した時には変化しなかった。 研究2 (1)PRLプロモーター調節下に、エストロジェン受容体のdominant negativeを発現するアデノウィルスベクターを作成した。 (2)PRLプロモーター下にluciferaseリポーター遺伝子を発現するベクターを使って、アデノウィルスベクターの感染条件を詳細に検討し、下垂体前葉細胞の培養糊始初期のインスリン刺激培養期間中に5MOI程度の濃度で感染させることによって最大感染効率が得られることがわかった。しかし、この最大効率をもってしてもリポーター遺伝子の発現は、全PRL細胞の約30%の細胞に限定されていた。 研究3 (1)PRLプロモーター調節下にGFPを発現するトランスジェニックラットのラインを作成した。 (2)トランスジェニックラットの数種類のラインを詳細に検討した結果、発現GFPの蛍光強度、PRL細胞でのGFPの発現率と発現特異性の観点からソーティング実験に用いるラインとしてMI-11-90を選択した。 (3)FACSを用いてGFP発現下垂体細胞を選択的に分取し、約90%がPRL細胞によって構成される細胞集団(多PRL細胞集団)を得ることに成功した。 (4)通常下垂体前葉細胞集団で見られたエストロジェンのPRL細胞増殖促進作用は多PRL細胞集団では増強していた。一方、IGF-1存在下に見られるエストロジェンのPRL細胞増殖抑制作用はこの多PRL細胞集団では完全に消失していた。
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