研究課題/領域番号 |
15590217
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
坂田 三恵 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究員 (10353525)
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研究分担者 |
勢井 宏義 徳島大学, 医学部・医学科・情報統合医学講座・統合生理医学分野, 助教授 (40206602)
裏出 良博 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究部長 (10201360)
江口 直美 (財)大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究副部長 (10250086)
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キーワード | 睡眠 / レム睡眠 / 血圧 / 循環 / アデノシン / ドーパミン / アデノシンA_<2A>受容体 / ドーパミンD2受容体 |
研究概要 |
睡眠には大別してノンレム睡眠とレム睡眠という二つの状態が存在する。ノンレム睡眠中に安定している血圧は、レム睡眠に移行すると急激な一過性の上昇や激しい揺れが起こる。また血圧や心拍では、明期に低く、暗期に高い値を示す日内リズムが見られる。腹側内側被蓋野のドーパミン神経群を破壊したラットでは血圧の日内リズムが消失することから、ドーパミンが睡眠中の血圧調節に関与していると考えられる。一方、ドーパミンD2受容体とアデノシンA_<2A>受容体の機能は拮抗的に働くことが知られている。アデノシンは内因性睡眠誘発物質のひとつであり、A_<2A>受容体を介して睡眠を誘発する。本研究では、睡眠中の血圧に着目し、野生型マウス、A_<2A>受容体欠損マウスを用いて脳波、筋電位、血圧の測定を行い、アデノシンA_<2A>受容体の睡眠中の循環動態への関与を調べた。まず、マウスを用いた脳波、筋電位、血圧の同時測定システムを確立した。麻酔下のマウスの左総頸動脈に血圧送信機の細いカテーテルを挿入し、送信機は腹部上部に埋め込んだ。十分な回復期間をおいて、脳波、筋電位を測定するため手術を行い、さらに回復期間をおいた後に、脳波、筋電位、血圧の同時測定を行った。測定の結果、マウスにおいても、ラットと同様に非拘束非ストレス条件下での血圧の常時測定が行えることが確認された。血圧と心拍のリズムに関して、A_<2A>受容体欠損マウスでは、野生型マウスと同様に、明期で低く、暗期で高い値を示した(n=2)。したがって、アデノシンA_<2A>受容体は睡眠中の血圧リズムには積極的に関わっていない可能性が示唆された。今後、アデノシンA_<2A>受容体欠損マウスでの実験を重ねるとともに、ドーパミンD2受容体欠損マウスでも同様の実験を行い、ドーパミンのD2受容体を介した睡眠中の循環調節作用を検討する。
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