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2003 年度 実績報告書

中枢神経系の発生・分化におけるPPARγの作用とそのメカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15590227
研究機関大阪大学

研究代表者

和田 孝一郎  大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (90263467)

研究分担者 上崎 善規  大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (40116017)
キーワード中枢神経 / PPARγ / 神経幹細胞 / 細胞増殖 / 細胞分化 / Cell cycle / アポトーシス
研究概要

中枢神経系の発生および発達に関しては、まだまだ不明な点が多い。近年、胎児脳より単離された神経幹細胞は、正常細胞にもかかわらず細胞増殖が可能であり、かつ接着刺激などにより神経細胞へ分化することで神経細胞を供給している源と考えられており、再生医療などの分野で注目を集めている。しかしながら神経幹細胞の分化・増殖をコントロールしている機構については未解明な部分が殆どであり、PPARγなどの転写調節因子の研究は、全く新しい機構の発見につながると考えられる。
我々は、主としてマウス胎児脳より単離した神経幹細胞を用いて、神経幹細胞の増殖、および神経細胞への分化におけるPPARγや転写調節因子の作用とそのメカニズムについて研究した。興味深いことにPPARγやいくつかの転写調節因子活性化薬では、神経幹細胞の増殖を促進したが、ある種の環境ホルモンなどは逆に神経幹細胞の増殖を抑制し、アポトーシスを引き起こすことを明らかにした。これらの環境ホルモンは歯科領域で使用されるレジンなどにも含有される可能性があるため、中枢神経系の発達初期に影響を与える可能性が示唆された。また臨床的にも多用されているアスピリンやイブプロフェンといった抗炎症薬はPPARγ活性化薬と同様に、神経幹細胞の増殖を引き起こしたが、ジクロフェナックのみは逆に神経幹細胞の細胞死を引き起こした。近年、ジクロフェナックは小児の脳炎を悪化させる可能性が指摘されており、小児の脳でジクロフェナックが神経幹細胞の増殖に影響を与えている可能性が考えられる。ジクロフェナックはPPARγ経路を遮断することが他の培養細胞で指摘されており、今後、PPARγ経路との関連性を明らかにする必要があるものと考えられる。
本年度の研究で我々が見出した成果は、多くの学会で発表されたほか、多数の学術雑誌に掲載された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Katayama K, Wada K, et al.: "RNA interfering approach for clarifying the PPARγ pathway using lentiviral vector expressing short hairpin RNA"FEBS Letters. 印刷中. (2004)

  • [文献書誌] 和田孝一郎 他: "中枢神経系におけるPPARγの役割"日本薬理学雑誌. 122. 301-308 (2003)

  • [文献書誌] Kudo C, Wada K, et al.: "Nonylphenol induces the death of neural stem cells due to activation of the caspase cascade and regulation of the cell cycle"Journal of Neurochemistry. 印刷中. (2004)

  • [文献書誌] Kudo C, et al.: "Diclofenac inhibits proliferation and differentiation of neural stem cells"Biochemical Pharmacology. 66(2). 289-295 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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