研究概要 |
白血球細胞間相互作用、特に単球-リンパ球間相互作用における接着分子の機能の重要性について明らかにした。つまり、LPSやInterleukin-18でヒト末梢血単核球(PBMC)を刺激すると、単球細胞表面上にIntercellular adhesion molecule-1,B7,CD40分子の発現が増加する。PBMCにおけるIL-12やIFN-gammaの産生は、これらの接着分子とリンパ球上の対分子との相互作用によって惹起されることを示した。さらに、内因性オータコイドであるヒスタミンやロスタグランジン類は、単球上接着分子の発現調節を介してサイトカイン産生を調節することをあきらかにした。以上の結果は、炎症・免疫応答の調節における接着機能分子群の機能制御の重要性を示唆するものである。 一方、Sepsis患者さんに使用された治療カラムから細胞成分の回収を試み、これに成功した。細胞成分のインキュベーション上清から、主要な蛋白質をSDS-PAGEで確認し、各蛋白質を精製後プロテインシークエンサーにかけることによって、N末端アミノ酸配列を読み取った。得られたアミノ酸配列情報と、SDS-PAGE上の見かけの分子量から、4種類の蛋白質が同定された。各蛋白質の精製標本を用いて、単球上接着分子の発現に対する効果を種々の条件下に検討したところ、非常に興味深い活性が検出された。さらに、特定の蛋白質に対する抗体を作成し、免疫沈降を行うことによって、この蛋白質と複合体を形成する可能性のある蛋白質群の検索を進めている。
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