研究概要 |
本プロジェクトを効果的に遂行するために、研究代表者が以前開発した磁気刺激装置に若干の改良を加えた。 BALB/cマウス脊髄後根神経節(DRG)細胞とシュワン細胞を共培養して、シュワン細胞の作るミエリン鞘によって髄鞘化したニューロン群からなるネットワーク構造を培養条件下に作製し、磁気刺激装置により高頻度刺激(3-5mT,50Hz)を持続的に与え、位相差顕微鏡画像(4x10および10x10)を12時間ごとに撮影した。その結果、経時的にミエリン鞘が脱落し、72時間で、ニューロンの神経突起が完全に露出した。これらの経時的形態変化は、24時間間隔で作製したパラホルムアルデヒド固定標本に抗ミエリン塩基性蛋白モノクローナル抗体と抗ニューロフィラメント・モノクローナル抗体を用いて、蛍光顕微画像として確認した。 24時間〜36時間の磁気刺激を施して、ミエリン鞘が脱落したDRGニューロンを、刺激を止めて培養を続けると、再度髄鞘化が始まり、7日目には約50%のニューロンで著明な回復が見られた。一方、72時間以上の磁気刺激を施したニューロン群では、ほとんど回復が見られず、ニューロンとシュワン細胞ともに細胞死を起こした。 DAPIを用いた核染色の結果、シュワン細胞は核の断片化(fragmentation)、すなわちアポトーシスの様相を示したのに対して、ニューロンでは、核の断片化は起こらず、ネクローシスによる細胞死であった。
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