研究概要 |
1.ウサギ骨格筋より得られたリアノジン受容体(RyR1)をコードするcDNA(全長約1万5千ベース)に、ただ一箇所でしか切断しない制限酵素部位(5'端-XbaI、677SalI、2349Bsu36I、3798BstBI、5355MluI、6822SpeI、8476BsiWI、9804AvrII、11290NdeI、12675NheI、14427ClaI、HindIII-3'端)をかつアミノ酸変異を生じないように導入して、各々の制限酵素により11個のcDNA「カセット」として切り出して利用できる「カセット構造化」を行なった。 2.このカセット構造化RyR1cDNAクローン内の一部のカセットを欠損した部分欠損クローン(16種類)や、逆に一部のカセットのみをコードする部分クローン(12種類)を作製し、緑色蛍光蛋白質(GFP)との融合蛋白質として培養CHO細胞に発現させることに成功した。 3.これらのRyR1変異体(計28種類)の中でカセット1、5,6,7および11を含むものは、核を除く細胞質に点在する様相で発現して、細胞膜を可透過する処理を加えても細胞質内に残存し細胞全長RyR1と同様な細胞内での発現分布様式を持っていた。 4.したがって、RyR1分子の細胞内カルシウム貯蔵部位である小胞体への移行・維持に係わる分子内の複数の部位に存在し、特にRyR1蛋白質のアミノ基末端と中央部分とカルボキシル基末端部分に存在する可能性が示された。これらの部分領域は、悪性高熱症疾患を持つ患者に診られるRyR1遺伝子変異が集中する領域に相当する領域であることから、カルシウム放出チャンネルとしてのカルシウム放出機能にも深く関係すると考えられ興味が持たれる。
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