研究課題
1.気管支瑞息患者の気管支肺胞洗浄液中に検出される炎症性サイトカインであるTNFαをラット摘出気管支に24hr作用させると、AChに対する収縮反応は増大し、同時に気管支組織中のRhoAのmRNAとタンパク質量は増加した。このことは気管支喘息発作にはTNFαによるRhoAの増加を介してCa^<2+>感受性増大が起こり、気道過敏性が発現することを示唆している。2.このTNFαによる気道反応性の亢進はp42/44 MAPK阻害薬あるいはタンパク質合成阻害薬によって抑制された。またTNFαによるRhoAのupregulationもこれらの阻害薬により抑制された。従って、TNFαがp42/44 MAPK活性化を介してRhoAタンパク質の合成を高め、それによって気道反応性の増大することが推察された。3.共焦点レーザー顕微鏡を用いて、ラット摘出気管支平滑筋細胞におけるRhoAタンパク質の細胞内分布を観察した。非刺激時にはRhoAは細胞質全体に均一に認められたが、ACh刺激により、RhoAは細胞膜周辺に移動し、膜結合型の活性型に変化することが証明された。4.RhoAとともにmyosin phosphataseを阻害することにより平滑筋収縮を増大することが最近明らかにされたCPI-17タンパク質が気管支平滑筋にも存在し、ACh処置によりCPI-17のリン酸化が促進されることを見いだした。この反応はprotein kinase C阻害薬あるいはRho kinase阻害薬によって抑制されることから、AChはprotein kinase CおよびRho kinaseを活性化してCPI-17のリン酸化を起こしてmyosin phosphataseを阻害して強い気管支収縮を発現するという機序の存在を提唱した。
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