神経発生過程において伸展中の軸索がセマフォリンなどの反発因子、ネトリンなどの誘因因子に導かれながら最終的に標的細胞とシナプスをつくることにより神経回路網が形成される。CRMPはセマフォリンなどの反発性の神経ガイダンス機構に関与する細胞内蛋白質として同定されたが、その機能は未だ不明な点が多い。以前の研究においてCRMPに結合する新規のunc-33遺伝子ファミリーに属する蛋白質CRAM(CRMP-5)を同定したが、機能解析はすすんでいなかった。今回の研究によってCRMPと異なるCRAM独特の役割について得られた知見を以下に報告する。 CRAMに関する実験結果 1.CRAMは海馬神経細胞においてFilopodiaに強い集積が認められた。 2.CRAMを海馬神経細胞に過剰発現させるとFilopodiaの伸展と成長円錐の過剰形成が認められた。 3.CRAMを過剰発現した成長円錐はセマフォリンによる崩壊活性が消失した。 4.RNAi法を用いてCRAMをノックダウンすると、成長円錐の崩壊と微小管の不安定化が認められた。 以上の結果よりCRAMがFilopodiaと成長円錐のDevelopmentに関与していること、そしてセマフォリンシグナルを負に制御している可能性が推測された。
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