研究課題/領域番号 |
15590265
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
原 明義 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (90164988)
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研究分担者 |
藤野 貴行 旭川医科大学, 医学部, 助手 (70322914)
結城 幸一 旭川医科大学, 医学部, 助手 (80302420)
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キーワード | プロスタノイド / プロスタグランジン I_2 / 受容体 / 心肥大 / 線維化 / 心筋リモデリング / マウス |
研究概要 |
本研究では、心臓に発現している6種類のプロスタノイド受容体(EP_2、EP_3、EP_4、FP、IP、TP)を欠損するマウスを用いて、圧負荷心肥大モデルを作成し、心筋リモデリングの発生や防御に関与するプロスタノイドをin vivoにおいて解析した。 野生型およびプロスタノイド受容体欠損マウスの胸部大動脈を慢性的に狭窄することにより、圧負荷心肥大モデルを作成した。すべてのマウスの心重量/体重比は、狭窄4週間後に著しく増加したが、その値は野生型マウスに比較しIP欠損マウスで有意に高かった。しかし、EP_2、EP_3、EP_4、FPおよびTP受容体欠損マウスの心重量/体重比は、いずれも野生型マウスと差を認めなかった。したがって、圧負荷によって産生された内因性PGI_2は心肥大を抑制するが、プロスタグランジン(PG)E_2、PGF_2αおよびトロンボキサン(TX)A_2は圧負荷による心肥大形成に大きな役割を演じていないと考えられる。 IPは心筋細胞や心臓の間質細胞に発現していることから、PGI_2はこれらの細胞に作用して圧負荷による心肥大形成を抑制した可能性がある。そこで次に、心臓の組織標本を作製し、心臓の線維化面積および左心室筋細胞の横断面積を計測した。野生型およびIP欠損マウスの心筋細胞断面積と線維化面積は、大動脈狭窄2および4週間後に増加したが、それらは野生型マウスに比較しIP欠損マウスにおいて高値であった。なお、非狭窄群の野生型とIP欠損マウスとのあいだには、心重量/体重比、心筋細胞断面積および線維化面積に差を認めなかった。これらの結果、内因性PGI_2は圧負荷による心筋細胞肥大および心線維化、すなわち心筋リモデリングを抑制することが明らかとなった。
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