研究課題
基盤研究(C)
1.AMPKによるmTORシグナル系抑制機構の解明mTORをbaitとしたYeast two-hybrid screeningにより、エネルギー代謝ストレスセンサーAMP-activated protein kinase(AMPK)γ1サブユニットを獲得した。この結果は、栄養環境センサーmTORシグナル系が、細胞内のエネルギー代謝状態を感知するシステムと連携し機能する可能性を示唆している。実際、AMPK活性化剤処理を行った哺乳類細胞では、mTOR下流エフェクターp70 S6 kinase(S6k)及び、翻訳開始因子eI4E結合蛋白質(4EBP1)のリン酸化が抑制され、この現象は、mTOR機能抑制剤であるラパマイシンによる脱リン酸化に抵抗性を示すS6kの変異体では観察されなかった。更に、AMPK優位活性化型を過剰発現した細胞では、S6k、4HBP1のリン酸化が抑制され、優位抑制型を過剰発現した細胞では、mTOR系抑制が解除された。これらの結果より、栄養環境センサーmTORシグナルとエネルギー代謝センサーAMPKが協調し機能する可能性を報告した。2.mTOR結合蛋白質raptorのscaffold蛋白質としての機能解析S6k及び4EBP1は、種を越えて保存されているTOS(TOR signaling) motifを持つ。このmotifの変異体は、増殖因子からのシグナルによるリン酸化が行われない。我々は、このTOS motifがmTOR結合蛋白質raptorの結合部位である事を証明した。つまり、TOS motif変異体はraptorに結合出来ない事、又、mTOR、raptor双方の存在下でも、TOS motif変異体は、もはやmTORによってリン酸化されない事を証明した。
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