(1)ラットPP2Ac遺伝子プロモーター領城の変異遺伝子の作製 カルレティキュリン高発現細胞株ではProtein phosphatase 2A (PP2A)遺伝子の転写レベルでの発現促進が見出されている。PP2Ac遺伝子の転写レベルでの発現調節機構を解析するため、ラットPP2Ac遺伝子プロモーター領域のPCRクローニングを行った。次に、このPP2Ac遺伝子の5'-側からのdeletion mutantの作製を行い、それぞれの遺伝子断片をルシフェラーゼベクターpGL3に挿入することにより、種々のプロモーター変異型のルシフェラーゼベクターの構築を行った。また、同プロモーター活性にとって重要であることが分かっている、CRE (cAMP responsive element)およびSp1結合部位については特異的な変異型遺伝子断片の作製を行った。 (2)H9c2におけるPP2Ac遺伝子発現制御機構の解析 上記のラットPP2Ac遺伝子プロモーター領域解析用のルシフェラーゼベクターを用いて、ラットH9c2細胞におけるプロモーター活性責任領域を解析検討した。また、既知の重要なプロモーター活性責任領域についてはそれぞれの変異型遺伝子を用い、野生型遺伝子とのプロモーター活性の比較により検討した。その結果、同遺伝子の基本転写活性においてはCREおよびSp1結合部位の両者が重要であることがわかった。今後、カルレティキュリン高発現により影響される細胞内カルシウム変化による遺伝子発現制御機構の解析を進展させる予定である。
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