研究課題
基盤研究(C)
我々は細胞内鉄代謝制御因子(IRP2)の鉄濃度依存性プロテアソーム分解に関与する新規RING型ユビキチンリガーゼとしてHOIL-1を同定したが、HOIL-1はB型肝炎ウィルスの病因蛋白質(HBx)に結合する機能不明の細胞内因子(XAP3)として以前に報告されていた。これはB型肝炎ウィルスによる肝細胞癌発癌にユビキチン系が関与する可能性を示唆する。本年度の研究で我々は、ROIL-1は細胞内で別のRING型ユビキチンリガーゼと高分子量複合体を形成していることを見いだした。HOIL-1のリガーゼ複合体形成がHBxのトランス活性化にどのような影響を与えるか調べたところ、HOIL-1リガーゼ複合体は、HepG2細胞や293細胞内でNF-κB応答プロモーターをもつルシフェラーゼ(Luc)活性を10倍以上に増大させた。しかし、Rous sarcomavirus(RSV)やAP1プロモーターのLuc活性亢進は見られなかった。NF-κB経路の活性化はゲルシフト法によっても確認され、抗NF-κB抗体を用いたスーパーシフトからp50やp65などが関与する古典的NF-κB経路が活性化すると考えられた。また、免疫蛍光染色からHBxとHOIL-1リガーゼ複合体が共発現した細胞ではp65が核内移行していることを明らかにした。さらに、ユビキチンリガーゼの活性中心であるRING領域のCysをAlaに変異するとNF-κB活性化は起こらなかった。これはHBxが結合したHOIL-1リガーゼ複合体は古典的NF-κB経路を特異的に活性化する可能性を示唆し、慢性的なNF-κB活性化が肝炎や肝細胞癌発癌に関与する可能性が示唆された。
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