研究課題/領域番号 |
15590283
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
西澤 幹雄 関西医科大学, 医学部, 講師 (40192687)
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研究分担者 |
古田 享史 岐阜大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40173538)
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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キーワード | アクロメリン酸 / アロディニア / プロスタグランジンF_<2α> / アンチセンスオリゴヌクレオチド / サブトラクション / ニューロン / 細胞内カルシウムイオン / 脊髄 |
研究概要 |
アクロメリン酸をごく微量、マウスに髄腔内投与するとアロディニアを誘発する。プロスタグランジン(PG)F_<2α>を投与してもアロディニアを誘発するが、過剰量のアクロメリン酸を投与すると、1週間後にPGF_<2α>で誘発したアロディニアが特異的に消失した。ラットとは違い、下部脊髄のニューロン選択的な変性・壊死やアポトーシスは起こらず、グリオーシスを認めるのみであった(論文投稿中)。 アクロメリン酸の受容体を同定するためには、アロディニアをアンチセンスオリゴで抑制する実験系が必須である。そこでマウスの髄腔内にチュービングを入れて、PGF_<2α>受容体(FP)のmRNAに対するアンチセンスオリゴを投与したところ、脊髄のFP mRNA量が低下し、PGF_<2α>のアロディニアが消失した。一方、生理的食塩水やPGE_2ではアロディニアに影響を与えなかった。マウスの脊髄スライスにPGF_<2α>をかけると後角の深層で著明な[Ca^<2+>]iの増加が見られたが、FPに対するアンチセンスオリゴを投与した脊髄では、PGF_<2α>に応答する細胞数が減少するとともに[Ca^<2+>]iのピークも下がった。即ちFPが後角の深層に多い事を明らかにした。この方法によりアロディニアに関係する分子の機能的および定量的評価が可能となり、アクロメリン酸の受容体の同定に一歩近づいた。 アクロメリン酸受容体のクローン化のため、アクロメリン酸を投与したマウス脊髄を用いたサブトラクションライブラリーからcDNAを単離したところ、脊髄で特異的に発現するものが得られたので、完全長cDNAを単離し構造を決定した。アンチセンスオリゴを作製してマウスに髄腔内投与すると、PGF_<2α>のアロディニアが特異的に消失する複数のcDNAを発見した(論文準備中)。一部については抗体を作製して脊髄の免疫染色を行なっており、化学合成したアクロメリン酸と結合するかも検討している。
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