研究概要 |
(1)検体の収集 旭川医科大学と神奈川県立こども医療センター小児外科で検体の収集を開始したが、収集に難渋し、慶応大学、川崎医科大学小児外科にも検体の収集枠を広げた。研究年度での症例収集数は、弧発例34例、3世代に渡る家系一家系(8人)であった。 (2)RET遺伝子解析 弧発例34例と家系例(8例)の合計42例についてRET遺伝子の解析を行った。アミノ酸置換を伴う変化を弧発例34例中5例(14.7%)、家系例8例中6例に見出した。内訳は、Arg99Trp2例、Tyr204Cys1例、Tyr483His1例、Asn783Ser1例であった。家系例では、Asp300Hisを8例中6例に見出した。 (3)GDNF, SOX10,EDNRB, EDN3のパプロタイプを用いたケースコントロールスタディ GDNF, SOX10,エンドセリンB受容体とそのリガンドであるエンドセリン3では、ウェッブ上から入手できるSNPを用いて、健常人48名でのシークエンスを行った。この結果から、ハプロタイプ構築に必要なSNPを各遺伝子において、2〜5個設定した。4遺伝子のパプロタイプを用いたケースコントロールスタディでは、パプロタイプの保持頻度に有意差を見出すことはできなかった。 以上のことから当初の仮説には誤りがあるか検出不能な多型が存在すると考えられた.まとめると二つの可能性が考えられる。 1、遺伝子間相互作用の中での情報伝達量の総和としての発症機序ではない、他の機序が存在する。 2、発症機序としては、情報伝達の総和が効果をもつが、そのような多型は、SNPで構成されるパプロタイプという形での多型ではない。遺伝子コピー数差などの因子の関与が推定される。
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