眼瞼下垂の候補領域である染色体1p34.1領域から候補遺伝子としてMBX遺伝子(OTX3)を選択し、眼瞼下垂患者DNAを使用して変異解析を行った。患者は、長崎、島原、大分、埼玉などから9例収集し、そのうち2例には家族歴が認められた。エクソン-イントロンを含め5エクソン全てをPCR法にて増幅し、直接シークエンス法により変異解析を行った。一家系にCGG>CAG (R>Q)を見出した。この変異は、父親から子に伝達されており、病気の伝達と連鎖が認められ、正常コントロール192人には存在せず眼瞼下垂の原因変異であることが強く示唆された。9例中に1例の変異であるために、変異による変化が蛋白質の機能変化をもたらすかの解析が必要であるのでMBX遺伝子をプラスミドベクターにクローニングした。変異の場所がOARドメインとよばれる部位で、これまでに転写の抑制ドメインであることが知られているので、ルシフェラーゼアッセイによりこの転写抑制機能を検証することにした。発現ベクターに正常MBX、OAR欠損MBX、変異MBXを発現ベクターへクローニングし、ルシフェラーゼの上流にMBX遺伝子の認識プロモーターを結合させ、同時にNIH3T3または、HEK293細胞に導入し、ルシフェラーゼの発現によりMBX遺伝子の機能の変化を確認できる。現在、これらの発現プラスミドのクローニングを終了したので、今後ルシフェラーゼアッセイを行う予定である。 今後は、MBX1遺伝子に目印となるTagを連結し蛋白質を発現させ、プロテオミクスの手法によりMBX蛋白質と相互作用する蛋白質を単離したいと考え実験を進める。
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