研究概要 |
山梨大学・外科で過去に切除された各種固形癌について、代表的なホルマリン固定・パラフィン包埋切片を用いて、免疫組織化学法(抗c-erbB-2抗体、ニチレイ;抗EGFR抗体、Novocastra ; C-MET抗体、Santa Cruz)、及びFISH法(c-erbB-2、17q11.2-q12特異的;EGFR、7p12特異的;c-met、7q31特異的プローブ)(Vysis社)を用いて各癌遺伝子の過剰発現と遺伝子増幅を検討し以下の結果を得た。 大腸癌 244例の大腸癌を対象とした。ErbB-2とEGFRの過剰発現はそれぞれ8例(3%)と19例(8%)に認められた。遺伝子増幅は蛋白過剰発現のみられた症例のそれぞれ100%と58%であった。 非小細胞性肺癌 181例の非小細胞性肺癌を検索し、34%にEGFRの過剰発現がみられ、このうち74%に、EGFR遺伝子の増幅がみられた。高度過剰発現と高度増幅には相関がみられた。単一腫瘍内での遺伝子増幅は不均一にみられ肺癌のgenetic heterogeneityを示した。 胆道癌 221例の胆道癌(肝内胆管癌28例、肝外胆管癌78、胆嚢癌89例および乳頭部癌26例)検索した。ErbB-2の過剰発現は胆嚢癌、乳頭部癌、肝外胆管癌のそれぞれ15.7%,11.5%,5.1%に見られ、その79%が遺伝子増幅を伴っていた。EGFRの過剰発現は、部位による頻度に優位差は無く8.1%にみられ、その77%が遺伝子増幅を伴っていた。c-metの過剰発現は肝内胆管癌に頻度が最も高く(21.4%)、遺伝子増幅はみられなかった。 食道癌 106例の食道扁平上皮癌を検索し、53例(50%)にEGFRの過剰発現があった。このうち15例(28%)では遺伝子増幅がみられ、32例では軽度遺伝子数の増加が、6例では遺伝子数の増加を認めなかった。遺伝子増幅と過剰発現の間に優位の相関をみた。
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