研究課題/領域番号 |
15590306
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
飛岡 弘敏 札幌医科大学, 医学部, 講師 (90291559)
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研究分担者 |
小海 康夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20178239)
澤田 典均 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30154149)
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キーワード | タイト結合 / 腫瘍 / Occludin / 免疫組織化学 / 癌 |
研究概要 |
我々は、最近、タイト結合蛋白Occludinの細胞外ドメインおよびC末端細胞内ドメインに対する単クローン抗体を作製し、そのうちの1つがホルマリン固定・パラフィン包埋切片での免疫染色に使用可能であることを明らかにした。この抗体により、以下の疾患におけるタイト結合蛋白Occludinの発現を、手術・生検によって採取された人体病理組織材料を用いて、免疫組織化学的に検討した。 1.肺腫瘍 正常肺組織および肺に発生した腫瘍の各組織型(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌、小細胞癌、大細胞神経内分泌癌、腺様嚢胞癌)でのOccludinの発現を検討した。その結果、正常肺組織では、気管支上皮、気管支腺、肺胞上皮でOccludinの発現を認めた。肺腫瘍では、腺癌、腺様嚢胞癌の腺腔形成部分にのみOccludinの発現を認めた。このことから、Occludinは腺上皮細胞への分化マーカーとなり得、また肺腫瘍の組織型の決定に有用であることが示された。 2.乳癌 乳腺に発生する浸潤性乳管癌と浸潤性小葉癌での、Occludinの発現を検討している。その結果、浸潤性乳管癌の全例でOccludinの発現を認めたが、浸潤性小葉癌では現在までの検討症例中わずか1例で陽性所見を得るに留まっている。このことから、Occludinの免疫染色は、上記2組織型の鑑別に有用であり、またこれらの組織発生を明らかにする上での手がかりとなり得ると考えられた。 3.結腸carcinoid腫瘍 結腸carcinoid腫瘍におけるOccludinの発現を検討した結果、20%の症例の病変内にOccludin陽性の腺腔が認められることが明らかになった。このことから、carcinoid腫瘍が上皮系腫瘍と同一の起源から発生した腫瘍であることが示唆された(Histopathology,2004.)。
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