研究概要 |
1.胃癌における脂肪酸合成酵素(FAS)、肝型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)と心筋型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)の発現について免疫組織化学的に調べ、以下のように誌上発表した。 1)L-FABPは、FASの発現、臨床病理学的事項、予後との関連性がなかった(Pathobiology71:115-122,2004) 2)H-FABPは、FASの発現、脈管侵襲、リンパ節転移、肝転移、病期および予後と相関して発現していた(Pathobiology71:267-273,2004) 2.大腸癌におけるH-FABPとL-FABP 1)細胞株4種全てにH-FABPの発現を認めたが、L-FABPの発現は認められなかった。FASとH-FABPの発現には弱い相関がみられた。 2)大腸癌98例中L-PABPは74例(76%)に、H-FABPは84例(86%)に発現していた。H-FABPは高〜中等度発現群が多く(59/84,70%)、L-FABPは低発現群が大部分であった。(56/74、76%)また、FASの発現とL-FABP、H-FABPの発現に相関はみられなかった。 3)VEGFの発現との関連性も含め、目下、論文用にデータを解析している。 3.肺癌におけるL-FABPの発現 症例が多い肺癌についてL-FABPの発現の特性について検討した。 1)199例中120例(60%)にL-FABPの発現がみられた。 2)L-FABPとFASの発現に関連性はみられず、VEGFの発現と相関性が認められ、L-FABPが血中脂肪酸のとり込みに関与することが示唆された。 3)予後との関連性はみられなかった。 以上の結果を誌上発表した(Pathobiology,印刷中)
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