研究課題
基盤研究(C)
1.肝型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)の発現は、胃癌(667例)の38%に、肺癌(199例)の60%に認められた。L-FABPの発現と脂肪酸合成酵素(FAS)の発現、臨床病理学的諸因子並びに患者予後との相関は認められなかった。しかし、肺癌では血管増殖因子とL-FABPの発現に関連性があり、L-FABPが血中脂肪酸の摂取に関わることが示唆された。2.胃癌では心筋型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)の発現が19%に見られ、H-FABPの発現とFASの発現、病理学的諸因子(脈管侵襲、リンパ節転移、肝転移、病期)ならびに患者予後との間に正の相関が見られた。このことからFASによって合成される細胞内脂肪酸の利用にH-FABPが関与することが推定された。3.L-FABPは胃の正常上皮では陰性であるが、腸上皮化生で90%、腺腫で38%、癌で38%の頻度で発現し、癌化の早い時期(前癌病変)から発現する傾向を示した。4.H-FABPは胃の正常上皮のみならず、腸上皮化生・腺腫にも全く検出されず、癌にのみ19%の頻度で発現する。このことは胃癌の一部が発癌後にH-FABPを発現するようになることを示唆する。5.大腸癌におけるL-FABPとH-FABPについては目下解析中。6.大腸癌株4種全てに、胃癌株8株中6株にH-FABPの産生が認められた。しかしL-FABPは胃癌株TKGWにのみ検出されたにすぎなかった。7.二次元電気泳動とウエスタンブロッティング法により、正常肝L-FABPには3個のスポットが観察されるが、TKGW株のL-FABPはそれ以外にもう1つのスポットが出現し、正常肝L-FABPとは異なっていた。その性状については検討中。8.胃癌株(3株)・大腸癌株(1種)にパルミチン酸(1.9x10^<-4>〜7.5x10^<-4>mol/L)を添加培養したが、増殖、形態変化、細胞変性および脂肪の蓄積などは認められなかった。
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Pathobiology 72巻(in press)
Pathobiology 71
ページ: 115-122
ページ: 267-273
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