研究課題
混合性結合組織病(MCTD)は、複数の膠原病の症状を呈する血中の抗RNP抗体が陽性となることが特徴的な疾患である。MCTDでは他の膠原病に比べ高確率で合併する肺高血圧症(PH)が死因の第一位を占めているが、その発症機序はいまだに明らかにされていない。本研究では、PHの発症機序の解明を目的として、特に抗内皮細胞抗体(anti-endothelial cell antibody, AECA)の発症機序との関連に焦点をあて、MCTD患者血清中のAECAが特異的に反応する抗原蛋白質の探索を行った。肺微小血管内皮細胞(HMVEC-L)から調製した蛋白質を二次元電気泳動で展開し、PVDF膜に転写後、健常者血清やPHを発症しているMCTD患者血清を用いてウエスタンブロットを行った(2Dウエスタン)。PHを発症しているMCTD患者血清に強く反応したスポット約20個をゲルから切り出し、ペプチドマスフィンガープリンティング法により解析し、その半数が同定できた。ウエスタンブロットによる検出では、抗体の反応性が高くなり非特異的なものを検出してしまう場合や逆に反応性が低くなる場合があり、今回同定できた蛋白質やスポットに対応する蛋白質の全てが疾患と関連しているとはいえない。しかし、同定できた蛋白質の中には、様々な疾患で自己抗体が報告されているvimentinなどの蛋白質も含まれていることから、2Dウエスタンは自己抗体の抗原を探索するうえで有効な手段といえ、この方法で同定できる蛋白質の中にAECAの反応する抗原が含まれる可能性は高い。今回同定できた蛋白質の中には、強皮症において抗体陽性の患者の方が陰性の患者に比べPHを発症している割合が高いと報告されている蛋白質や、PHのモデルの作製に使用されるモノクロタリンの代謝物によって修飾をうけると報告されている蛋白質も含まれており、興味深い。健常者やMCTD患者とPHを発症しているMCTD患者の血清でこれらの蛋白質に対する陽性率に違いがあるか、また違いが認められた場合にはそれが病態を反映しているだけなのか、発症機序に関連するかが今後の課題である。
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