研究課題/領域番号 |
15590320
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
石井 寿晴 東邦大学, 医学部, 教授 (30101893)
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研究分担者 |
石川 由起雄 東邦大学, 医学部, 講師 (30276894)
赤坂 喜清 東邦大学, 医学部, 助教授 (60202511)
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キーワード | 心筋架橋 / 動脈硬化 / ずり応力 / 組織計測 |
研究概要 |
平成15年度は、心筋架橋の解剖学的特性が冠状動脈硬化に及ぼす影響について検討を試みた。 すなわち、心筋架橋を有する200例、心筋架橋を有しない100例の左冠状動脈前下行枝を剖検例から採取し、これらの全長を5mm間隔で横断切片とし(1麗より、平均16断面)、HE・EVG染色を施した。すべての断面を光顕観察し、心筋架橋の有無を検索した。心筋架橋のある群については、最も近位で出現した部位で、心筋架橋の入口部とし、最も遠位にみられた部位を心筋架橋の出口部とした。これらから、心筋架橋の認められた断面数に5mmmを乗じた数値を以て心筋架橋の長さとした。又、最も厚い心筋断面を示した部分の厚さを心筋架橋の厚さとした。 これらの観察を終えた後に、パーソナルコンピュータ支援の画像解析装置により、すべての冠状動脈断面における内膜及び中膜の面積を測定し、内膜面積/中膜面積を以て、動脈硬化度とした。上記の一連の作業から、左冠状動脈内における、心筋架橋の入口部の位置、長さ、厚さが冠状動脈効果に及ぼす影響を、多角的に検討した。 心筋架橋入口部の位置は、左冠状動脈起始部より4.4cmの部位に見出された。心筋架橋の入口部が、左冠状動脈入口部から離れて存在すると心筋架橋入口部より近位の冠状動脈には有意に硬化の抑制がみられた。心筋架橋の長さの平均は、1.44cmであった。心筋架橋の長さが動脈硬化抑制に与える影響は殆ど認められなかった。心筋架橋の厚さの平均は856ミクロンであった。心筋架橋の厚さが厚いと動脈硬化抑制効果が有意に大きかった。心筋架橋の長さが長いと、厚さも有意に厚いことも判明した。 心筋架橋の位置・長さ・厚さの間には、一定の相互間関係がみられ、これらの個々のパラメータは、心筋架橋の動脈硬化抑制効果に有意な影響を与えていることが判明した。
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