研究課題/領域番号 |
15590330
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
外丸 詩野 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20360901)
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研究分担者 |
石津 明洋 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (60321957)
鈴木 昭 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50374236)
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キーワード | ヒト内在性レトロウイルス / トランシジェニックラット / 組織特異的発現 / タンパク発現 / 標的抗原 |
研究概要 |
ヒトの感染性レトロウイルスであるHIV-1やHTLV-Iでは自己免疫疾患類似の病態を認め、マウスの自己免疫疾患では内在性レトロウイルスが病因となることが報告されている。 本研究ではこれらの報告をふまえ、ヒトの内在性レトロウイルスの病原性を明らかにするために計画した。既に樹立された1コピー型ヒト内在性レトロウイルスHERV-R遺伝子を導入したトランスジェニックラット(HERV-Rラット)をモデルとした研究では、導入遺伝子はホルモン標的組織であるハーダー腺や前立腺ほか表皮、唾液腺など組織特異的に発現を認めたが、明らかな疾患発症は観察されなかった。 当該研究年度内では、HERV-Rラットと、別に樹立した自己免疫疾患のプロトタイプであるヒト感染性レトロウイルスHTLV-Iの遺伝子導入ラット(env-pXラット)とのダブルトランスジェニックラットを作製し、自己免疫疾患発症ラットにおける内在性レトロウイルスの発現と病態修飾、疾患発症の有無について検討した。 自己免疫疾患を発症するenv-pXラットとHERV-Rラットのダブルトランスジェニックラットでは、ハーダー腺等にIgM型自己抗体の沈着が認められることが明らかとなり、HERV-R抗原に対する自己免疫反応が惹起されている可能性が強く示唆された。また、ダブルトランスジェニックラットではラットの生存期間が短縮し、腎糸球体への血栓形成等も認められた。現在、自己免疫疾患発症ラットにおけるHERV-R抗原への免疫応答や病態修飾の状態について、引き続き検討している。
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