研究課題/領域番号 |
15590342
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
樂木 宏実 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20252679)
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研究分担者 |
荻原 俊男 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60107042)
大石 充 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50335345)
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キーワード | Klotho / 酸化ストレス / MnSOD / 一酸化窒素 / 内皮細胞 / cAMP / 老化 / 血管 |
研究概要 |
COS-1細胞にKlotho蛋白発現遺伝子(pCAGGSベクター(大阪大学宮崎純一教授から譲渡)のEcoRIサイトに膜型klotho遺伝子を組み込んだ)を導入し、導入後3日目〜4日目の培養上清に安定したKlotho蛋白の発現を得た。この培養上清を用いヒト臍帯静脈由来内皮細胞を培養した。細胞ホモジネートのACE活性、cAMP、NO代謝産物産生、eNOS蛋白量、Mn-SOD活性と蛋白量が、コントロールベクター導入細胞からの培養上清刺激と比較して約2倍に増加した。ACE活性、eNOS発現、Mn-SOD活性と発現の増加に関しては、いずれもcAMP拮抗剤であるRp-cAMPまたはKlotho蛋白抗体であるKM2076(協和発酵から譲渡)によりほぼ完全に抑制できた。さらに、MnSOD活性と発現に関しては、NO合成阻害剤であるL-NMMAにより約50%抑制できた。これらの成績により、Klotho蛋白は液性因子として標的細胞(本研究では内皮細胞)に対してcAMP活性化を介して抗酸化に働く可能性が示された。また、その一部の機序にNOからcGMP活性化を介する系も関与していることが示された。本研究の成績は、Klotho蛋白の過剰発現に対する反応であるが、過去のklothoマウスでの血管内皮細胞機能障害に関する報告とあわせて考えると、生理的作用としても重要である可能性がある。さらに、マウスの尾静脈からプラスミドを大量投与して肝臓と血清中にKlotho蛋白を発現させることに成功した。このマウスの血管においては、MnSOD発現亢進、NO代謝物の産生亢進、血清過酸化脂質の減少を認めた。これらの成績から、Klotho蛋白の系を抗酸化ストレス系として応用できる可能性が示された。
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