自己免疫性甲状腺疾患モデル動物としてhuman TSHR(hTSHR)が皮膚ケラチノサイトに高発現するトランスジェニックマウス(Tg)作製を試みた。平成15年度は、Tgにおいて強制発現される蛋白質が正常に発現されているか検討し、発現ベクターの構築を確認した。 I.ヒトTSH受容体発現トランスジェニックマウス(hTSHR/Tg)の作製 (1)発現ベクター(pBS/CMV/lox-lacZ)にhTSHR(+MIP-3)、発現ベクター(K14-NLC)にCreDNAを各々挿入し、ヒトTSH受容体(hTSHR)および組換え酵素(Cre)DNA発現ベクターを作製した。 (2)マウス(C57BL/6J)の前核期受精卵にTSH受容体DNA(pENTR/hTSHR/MIP3)およびCre DNA(K14-NLC-Cre)を挿入した発現ベクターDNAを注入し、偽妊娠を誘導した雌マウス卵管に移植し、産仔を得た。 (3)マウス尾部組織からゲノムDNAを抽出し、hTSHRおよびCre断片をプローブとしてサザンブロット解析により各Tg(FO)を同定した。 (4)TSH受容体DNA発現マウス(hTSHR/Tg)およびCre発現マウス(Cre/Tg)の交配により、コンディショナルトランスジェネシスによるトランスジーンを発現させる。 2.hTSHR/TgにおけるTSH受容体蛋白の発現および抗TSH受容体抗体活性の検討 (1)TSH受容体蛋白の皮膚(ケラチノサイト)における発現および受容体蛋白の抗原活性や受容体の生物活性を測定した。 (2)マウス血清中の抗TSH受容体抗体活性(標識TSH結合阻害抗受容体抗体活性および甲状腺細胞内cAMP産生刺激活性を測定した。
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