研究概要 |
本年度はin vivoエレクトロポレーション(EP)法を用いて筋肉内にTSHRの発現を誘導し、自己免疫反応誘発によるバセドウ病モデルマウスの作製を試みた。 1)TSHR発現ベクターの作製 発現ベクターとしてpC1-IRES-ΔCD4とpBacMam2を用い2種類のベクターそれぞれにTSHR-wildtype (TSHR-WT)と細胞外領域であるTSHR-289Hisを組み込んだ。 2)バセドウ病モデルマウスの作製 エレクトロポレーター(ネッパジーン社)を用いた。電極間の大腿部筋肉に各ベクターを50μg/site (final 0.9%NaCl)で注入し、50V,負荷時間50msecの条件で6回のパルスを与えた。 発症実験には、pC1-IRES-ΔCD4,pBacMam2を発現ベクターとして用いた。コントロールとしてpC1-IRES-ΔCD4、さらにTSHR-WT、TSHR-289Hisを組み込んだ3種類の発現ベクターを50μg/siteでin vivo EP法を用いて筋肉内に導入した。 3)TSAbの検出 TSAb活性は教室において樹立したhumanTSHR発現株CHO-K1-TSHR-AHK12を用い、TSAbのcAMP上昇活性をcAMPキットを用いて測定した。 cAMP上昇活性においてcontrol群の平均値+3SDの値を基準とし、これを上回った検体をTSAb陽性と判定した。 pC1-IRES-ΔCD4-TSHR-WTをin vivo EP法により導入した群では2回目、3回目共に1/25匹が陽性であった。TSHR-289Hisでは、2回目のEP後TSAb陽性固体が7/24匹で認められ、3回目のEP後TSAb陽性が15/23匹であった。 pBacMam2ベクターにおいては、2回目のEP後TSHR-WTは1/25匹であり、TSHR-289Hisでは14/25匹であった。 また、pBacMam2-TSHR-289Hisの2回EP後のTSAb活性は、最大でcontrolの平均値の15倍の値を示した。
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