SCID mice(H-2d)に350rad照射後、β-galactosidase transgenic and RAG-1 deficient double mutant mice(H-2b)の骨髄細胞を移植した(SCID-BMT)。4週間後、ヒト膵がん細胞株Capan-1を皮下に移植し、2週間後、および4週間後に形成されたがん間質における、donor骨髄細胞の有無および性状について検討した。 【結果】2週間後の腫瘍間質には、CD31陰性かつx-gal陽性紡錘型細胞を認めた。これらの細胞は、H-2b陽性かつα-SMA陽性あるいはH-2b陽性かつvimentin陽性であり、α-SMA陽性細胞の約12.7%であった。以上より、desmoplastic reactionの際出現する筋線維芽細胞は、一部骨髄由来の細胞であることが示された。一方4週間後の腫瘍間質では、α-SMAかつH-2b陽性細胞は、α-SMA陽性細胞の約39.8%であった。さらにH-2b陽性筋線維芽細胞では、Topoisomerase II α陽性細胞の頻度は2.2%であったが、H-2b陰性筋線維芽細胞では、陽性細胞の頻度は0.03%であった。以上より、がん間質には、骨髄細胞由来および組織由来(非骨髄由来)の筋線維芽細胞が含まれていたことが明らかとなった。さらに、浸潤がんの際認められるdesmoplastic reactionの病因には、主に骨髄由来の筋線維芽細胞が関与していることが示唆された。
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