研究課題
基盤研究(C)
微小管結合蛋白MAP1Aを始め様々な遺伝子の転写制御に関与する転写因子群RFXのうち、プロトタイプであるRFX1の転写制御機構を明らかにするため、これと相互作用する因子を探索した。初年度はyeast two hybrid systemによるスクリーニングを行い、約300個の陽性クローンを得、180クローンの塩基配列を決定した。この塩基配列情報と免疫共沈法によりアデノウイルスE4の転写調節を行う細胞性転写因子p120^<E4F>がRFX1と結合する因子と同定した。このp120^<E4F>がRFX1の転写活性に及ぼす影響を検討し、p120^<E4F>の過剰発現でRFX1によるMAP1A遺伝子プロモーターに対する転写抑制作用が減弱することが明らかとなった。免疫共沈法によりp120^<E4F>はRFX1のDNA結合領域を含む部分に結合したため、この転写亢進作用は転写抑制作用を有するRFX1がDNAに結合するのを阻害する可能性が推測された。しかしクロマチン免疫沈降法ではp120^<E4F>の過剰発現はRFX1とDNAの結合には影響を及ぼさず、RFX1-GAL4 DNA binding domainキメラ蛋白を用いたレポーターアッセイではp120^<E4F>による転写脱抑制作用はRFX1のDNA結合能とは独立した部分に作用することが示唆された。種々のRFX1部分クローンとGAL4 DNA binding domainとのキメラ蛋白を用いた実験により、p120^<E4F>はRFX1のB、Cドメインが有する転写抑制作用に拮抗する働きを示し、これと独立した転写充進作用を有するものではないことが明らかとなった。またRFX1は細胞増殖核抗原(PCNA)の転写調節に関与することが示されており、PCNAの転写はアデノウイルスE1Aにより活性化することが知られる。p120^<E4F>はE1Aによりリン酸化修飾を受けるタンパクであることから、PCNAプロモーターに対するE1Aの活性化作用はp120^<E4F>を介したRFX1による転写抑制の脱抑制であるという仮説を立て、これを検証するレポーターアッセイを行った。この結果、前記の仮説を支持するデータを得た。
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Eur Arch Otorhinolaryngol (in press)
J Neurosurg 100
ページ: 679-687
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Hear Res 195(1-2)