研究課題/領域番号 |
15590365
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡邊 洋一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90323568)
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研究分担者 |
神谷 晴夫 弘前大学, 医学部, 教授 (70002079)
北 潔 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90134444)
大槻 高史 岡山大学, 工学部, 講師 (80321735)
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キーワード | 線形動物 / ミトコンドリア / タンパク質合成 / tRNA / EF-Tu |
研究概要 |
動物ミトコンドリア(mt)DNAにコードされるtRNAは、一般的なtRNAに比べ、構造が単純化したものを含んでいる。特に、ブタカイチュウや自由生活性のセンチュウCaenorhabditis elegansなどのある種の線形動物のmt tRNAには、一般的なtRNAに見られるクローバーリーフ型二次構造を形成できるものが一つも存在せず、代わりにTアームを失ったtRNAが20種、Dアームを失ったtRNAが2種存在する。一方、アミノ酸を受容したtRNAはペプチド延長因子EF-Tuと結合し、リボソームに運ばれタンパク質合成に参加する。我々は、C.elegansにはEF-Tuが2種類存在し、それぞれ、二つの異なるタイプのtRNAに適応進化し、どちらか一方のタイプのtRNAとのみ結合できること、どちらも一般的なtRNAとの結合能を失っていることを見出した。一方、線形動物のセンモウチュウmtにはTアームを失ったtRNA、Dアームを失ったtRNAに加え、一般的なクローバーリーフ型tRNAも存在する。すなわち、センモウチュウmt tRNAは他の動物mt tRNAからC.elegans mt tRNAの状態に移行する中間段階にあるといえる。そこで、センモウチュウにおいてEF-Tuは3つの異なるタイプのtRNAをどのように認識しているのかを解析するため、我々はセンモウチュウEF-TuのcDNAクローニングを試みた。その結果、センモウチュウは少なくとも2種の異なるEF-Tuを持つことが分かった。配列の系統学的解析から、これら2種のEF-TuはC.elegansのEF-Tuのどちらか一方と進化的に近縁関係にあることが分かった。また、EF-Tu中のtRNA結合部位の比較から、センモウチュウのEF-Tuの一方はTアームのないtRNAと、もう一方はDアームのないtRNAと結合することが予測された。
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