研究概要 |
マンソン裂頭条虫擬充尾虫が産生する排泄・分泌物質(ES物質)は、マウスマクロファージのMAPK経路のリン酸化を抑制することによってTNF-α,IL-1β,iNOSの遺伝子発現を抑制し、そしてマウスの骨髄細胞をM-CSFとRANKLにて供刺激して分化する破骨細胞-酒石酸抵抗性フォスファターゼ陽性の多核細胞-の分化も同様に抑制することを明らかにした。そこで、これらのサイトカイン遺伝子発現および破骨細胞分化を抑制する物質を次のようなステップで粗ES物質から精製することを試みた。 1.擬充尾虫1隻/1mL DMEMで培養して得た培養上清を25mM Tris-HCl(pH 7.4)に対して透析後、Amicon Ultra-15 Centrifugal Filter Unitにて限外濾過し、0.22μm filterにて濾過した試料を粗ES物質とした。 2.粗ES物質をMonoQ HR5/5カラムにてイオン交換クロマトグラフィーを施行し、0.3M NaClにて溶出した分画に活性が存在した。 3.0.3M NaCl溶出分画をRCA120 Agarose column 次いでWGA Agarose columnにて分画し、90kDa相当の分子サイズを有する単一バンドに収斂する糖タンパク質を得た。 4.20mgの粗ES物質から2.0μgの90kDa糖タンパク質が精製され、Plerocercoid Immunosuppressive Factor(P-ISF)と命名した。
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