1.消化管寄生線虫(Nippostrongylus brasiliensis;Nb)のマウス小腸からの排除におけるシアル化ムチン型糖蛋白の役割(石渡) マウスからのNb排除と小腸杯細胞内のムチン型糖蛋白のシアル化とに強い相関が認められている.このシアル化ムチン型糖蛋白がNb排除にどのように関与しているかを調べ、以下の事柄を得た.シアル化オリゴ糖を用いた実験系から、シアル酸がムチン型糖蛋白から遊離した状態、すなわちオリゴ糖の形ではNbの排除には影響しない.Nbの排除はシアル化ムチン型糖蛋白が小腸に定着しているNbに生理学的に作用することで引き起こされていることが示唆された.この生理学的作用の一指標として、Nb内ATPの定量方法を検討した. 2.ムチン産生細胞株におけるムチン型糖蛋白のシアル化合成過程の解析(中村、石渡) IL-13/Stat6誘導性の小腸杯細胞によるムチン型糖蛋白の産生亢進およびシアル化の機序を解析するためにムチン産生細胞株を入手した.細胞がムチンを産生していることを確認の上、IL-13あるいはIL-4を添加した際の培養上清中のムチン型糖蛋白の定量と性状を解析した. 3.Nb排除時のムチン型糖蛋白の定量と性状解析(石渡) Nb感染マウスの小腸からムチン型糖蛋白を分離精製し、その定量および性状を解析した.分離精製はラットの胃からの方法を参考にし、さらに絨毛間のムチン型糖蛋白の高効率な回収法を検討した. 4.シアル酸転移酵素ノックアウトマウスにおけるNb感染防御能(石渡) IL-13/Stat6を介したムチン型糖蛋白のシアル化にシアル酸転移酵素であるST3Gal IIIおよびST3Gal IVが関与している.今回、これらの転移酵素をノックアウトしたマウスをアメリカより導入し、Nbの感染防御能を調べた.
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