研究代表者の大崎はセファランチンの細菌における薬剤耐性ポンプに対する効果を調べるための細菌株の選定を行いつつある。研究分担者の春木の行った主な実験内容および結果は以下のとおりである。一部は連合王国、リバプール熱帯医学校で行われた。 クロロキン耐性熱帯熱マラリアTM6株を用い3Hクロロキン取り込み実験を行った。 1 クロロキン感受性変化とマラリア細胞内への蓄積に関する研究。 結果:各種アルカロイドによるマラリアのクロロキン感受性変化とクロロキンの細胞内蓄積は正の相関を示し、クロロキンの作用は薬剤蓄積量に依存することが確認された。 2 セファランチン存在下でのマラリア原虫へのクロロキン蓄積の経時間的変化。 結果:コントロールに比べ明らかにクロロキンの蓄積量が増加した。 3 セファランチン存在下でのマラリア原虫からのクロロキン排出量の経時間的変化。 結果:マラリア原虫からのクロロキン排出量はコントロールに比べ明らかに減少した。 4 セファランチンの膜電位に対する影響。 結果:セファランチンによりマラリア原虫の膜電位はコントロールに比べ低下した。 まとめ これらの結果よりセファランチンはマラリア原虫からの薬剤排泄を抑制し、蓄積を増加させた。また膜電位の低下をきたすことから膜電位変化とクロロキン排出抑制の関連が示唆された。今後膜電位変化をきたす物質による検討を行う予定である。また薬剤排出ポンプの相同性にも着目し、細菌を用いた実験も計画している。
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