研究代表者の大崎はセファランチンのマラリアに対する薬剤排出機能に関して薬剤排出ポンプの相同性に着目し、薬剤排出機構を持つ緑膿菌を用いた実験を行った。 結果:セファランチンは緑膿菌のポンプを抑制しなかった。 研究分担者の春木の行った主な実験内容および結果は以下のとおりである。 1 クロロキン感受性変化とマラリア細胞内への蓄積に関する研究。 結果:各種アルカロイドによるマラリアのクロロキン感受性変化とクロロキンの細胞内蓄積は正の相関を示し、クロロキンの作用は薬剤蓄積量に依存することが確認された。 2 セファランチン存在下でのマラリア原虫へのクロロキン蓄積の経時間的変化。 結果:コントロールに比べ明らかにクロロキンの蓄積量が増加した。 3 セファランチン存在下でのマラリア原虫からのクロロキン排出量の経時間的変化。 結果:マラリア原虫からのクロロキン排出量はコントロールに比べ明らかに減少した。 4 セファランチンの膜電位に対する影響。 結果:セファランチンによりマラリア原虫の膜電位はコントロールに比べ低下した。 5 これらより膜電位に影響を与える物質としてTTP(tetraphenylphosphonium)を選出して同様の実験を行った。 結果:TPPによってセファランチンがマラリア原虫に示した結果と類似した結果が得られた。 6:薬剤のスクリーニング 結果:既存薬であるH203が抗マラリア作用を示した。 まとめ これらの結果よりセファランチンはマラリア原虫からの薬剤排泄を抑制し、蓄積を増加させた。TPPをモデルとした実験より、膜電位変化とクロロキン排出抑制の関連が示唆された。本研究の経過中既存化合物のなかで抗マラリア作用を示す物質を見出した。
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