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2004 年度 実績報告書

ヘリコバクター・ピロリ内毒素(LPS)の疾患の違いによる構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15590381
研究機関秋田大学

研究代表者

天野 憲一  秋田大学, バイオサイエンス教育研究センター, 助教授 (40113766)

キーワードヘリコバクター / ピロリ菌 / 内毒素 / LPS / ルイス抗原 / 慢性胃炎 / 消化性潰瘍 / 胃癌
研究概要

ヘリコバクター・ピロリ(Hp)は1982年に胃内から分離されて以来、上部消化器疾患、特に慢性胃炎、消化性潰瘍、胃癌などの起炎菌として重要視されている。欧米に比べて日本では胃癌の発生率が高く、Hpの感染と密接に結びついている。ところが全ての感染者が発症するわけでもなく、Hpと宿主の両方に要因のあることが推定された。そこで我々はHp側の病原因子の一つであるLPSに焦点を当てて研究を行った。
1.まず初めに国内外のHp臨床株の収集を行った。国内では札医大や秋田大病院患者からの分離、国外ではポーランドの患者由来株を実験材料として培養を行った。
2.一方、免疫反応に用いるために、国内とポーランドの患者血清を収集した。
3.臨床株からLPSを抽出し、それを抗原として患者血清と反応したところ、LPSの反応性が株によって異なることを見いだした。反応性の高いエピトープを高抗原性エピトープ(HAE)、低いエピトープを低抗原性エピトープ(WAE)と命名して、疾患との関係を検討したところ、慢性胃炎由来株はHAE-LPSを持つ株が多く、胃癌由来株にはWAE-LPSを持つ株の多いことが明らかになった。
4.Hp-LPSの多糖構造は人血液抗原であるルイス抗原と類似した構造を持ち、その構造ゆえに、人胃粘膜に定着することが考えられた。ルイス抗原に対する市販抗体を用いて各LPSとの反応性を検討したところ、株間で異なり、ルイス抗原の種類と疾患との関係は見いだせなかった。
5.HAEとWAEの構造の差異を明らかにするために、質量分析計及びガスクロマトグラフによる解析を行ったが、機器分析による手法ではその差は見いだせず、非常にわずかではあるが、血清学的には充分認識できる差であろうと考えられる。
今回の研究課題では多くのことが明らかになるとともに、今後解明すべき問題点も浮き彫りになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2004 2003

すべて 雑誌論文 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Helicobacter pylori感染によると思われるヒト疾患患者血清のLPSとの反応性2004

    • 著者名/発表者名
      天野憲一
    • 雑誌名

      エンドトキシン研究 7

      ページ: 133-137

  • [雑誌論文] ヒト血液型Lewis抗原を介したヒトと細菌のクロストーク2003

    • 著者名/発表者名
      天野憲一
    • 雑誌名

      化学と生物 41・10

      ページ: 641-643

  • [雑誌論文] Structure, biological activities and antigenic properties of Helicobacter pylori lipopolysaccharides2003

    • 著者名/発表者名
      S.Yokota
    • 雑誌名

      Recent Res.Devel.Microbiol. 7

      ページ: 251-267

  • [図書] ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)2003

    • 著者名/発表者名
      天野憲一(共著)
    • 総ページ数
      206
    • 出版者
      診断と治療社

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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