1)平成15年度までに行われた研究からpMG1プラスミドのtra遺伝子群の発現調節に関与する正の調節遺伝子としてORF20が同定された。さらにこのORF20の転写を負に調節している遺伝子がORF13〜19の領域にある事がわかっていた。今年度、この負の調節遺伝子を特定するためにORF20からの転写の抑制が解除される突然変異を相補し、再びORF20の転写抑制をかける事がわかっているクローン化された断片(ORF13〜19を含む)に対してin vitro transposon mutagenesisを行い、ORF20に対する抑制が解除されるかどうか調べたところORF13から始まる転写が必要でORF15以降は必要ない事がわかった。また、ORF13単独では突然変異を相補しない事からORF14からORF15直前までの領域が必要である事が明らかになった。 2)tra領域の転写単位についてはノーザン・ハイブリダイゼーションの実験からすでに大まかな転写単位は推測されていたが、このたびRT-PCRとノーザン・ハイブリダイゼーションによってより正確に決定した。その結果、隣の転写単位に少し流れ込む事が観察される場合もあるがORF13〜15、ORF16〜19、ORF20〜43、ORF44〜49の4つの転写単位がある事がわかった。 3)受容菌としての能力を欠いた突然変異体と親株から細胞表層蛋白質を抽出し、2次元電気泳動を行い、蛋白質産生パターンを比較する事により供与菌・受容菌間の相互作用に関与する蛋白質を明らかにすることを試みてきたが現在までのところ親株と突然変異体の蛋白質産生パターンに明確な違いが観察されなかった。
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