研究分担者 |
前野 伸昭 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20305113)
又吉 盛健 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00128456)
吉家 清貴 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70174886)
藤村 剛 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10136880)
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研究概要 |
猫ひっかき病(バルトネラ感染症)の迅速で簡便な診断法の開発について平成15年度には下記の結果を得た。 1.バルトネラ属菌体抗原の分析:Bartonella henselaeの抗原分子を解明する目的で,全菌体,および全菌体から抽出した菌体外膜タンパクについてSDS-PAGEによる解析を行った。また,菌体タンパク中の線毛タンパクについて検索した。その結果,全菌体のSDS-PAGEでは35本以上の多数のバンドがみられたが,主要なバンドは43kDa,および32kDaにみられた。一方,サルコシル不溶性分画として得られた菌体外膜タンパクでは,約170kDa〜30kDaの範囲で10本の明瞭なバンドがみられ,特に62kDa,43kDa,および31kDaのバンドが主要タンパクであると考えられた。これらのタンパクのうち,62kDaおよび31kDaタンパクは線毛タンパクと関連が深いことが示唆された。 2.血清反応に有用な抗原分子の検索:上記の結果をもとに,抗体陽性血清との反応性をウエスタンブロット法により検討中であるが,現在のところ62kDa,43kDa,および31kDaタンパクが有用な抗原の候補と考えられる。 3.臨床症例における抗体陽性例の分布:臨床的に猫ひっかき病を疑われた患者につき間接蛍光抗体法による抗体価を測定した結果,これまでに少なくとも20症例でIgG抗体が検出され,最も高い抗体価は1,024倍であった。 4.内皮細胞増殖促進活性物質,炎症性サイトカイン誘発活性物質,およびアポトーシス抑制活性物質と菌体抗原:B.henselaeの培養上清をパーフュージョンクロマトグラフィーにより分画し,各分画の活性を測定した結果,内皮細胞増殖促進活性を示す分画は他の活性を示す分画とは異なっていることが確認された。この活性物質と,上記の菌体抗原との関係を検討中である。
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