研究分担者 |
吉家 清貴 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (70174886)
又吉 盛健 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (00128456)
前野 伸昭 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20305113)
藤村 剛 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10136880)
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研究概要 |
猫ひっかき病(バルトネラ感染症)の迅速で簡便な診断法の開発について平成16年度には下記の結果を得た。 1.バルトネラ菌体抗原の分析:Bartonella henselae菌体蛋白をSDS-PAGEで解析した結果35本以上のバンドが検出されたが,約90,62,45(43),40,35(31),25kDaが主要成分と考えられた。 2.モルモット免疫血清による解析:モルモット腹腔内にB.henselae生菌(10^7CFU/ml)を接種し2,4,8週後に採血し検討を行った。免疫モルモットでは8週後にIFAによるB.henselae IgG抗体価が256倍に上昇していた。ウエスタンブロットの結果,免疫モルモットではそれぞれ90,45,40,35,25kDaに相当する部分に,強い反応が認められた。特に,45kDaのバンドに著明な反応が見られた。 3.免疫モルモットにおける皮内反応:B.henselae生菌(約10^7CFU/ml)を腹腔内接種したモルモットに対し,接種後8週目にB.henselae加熱死菌を皮内接種した結果,明らかな陽性反応が見られた。今後,診断法の検討において留意すべき点であると考えられる。 4.患者血清との反応:猫ひっかき病の血清診断のためにIFAによる抗体価測定を行った患者血清のうち,2,048倍以上の高値を示す血清が多数蓄積されたので,これらについて来年度に詳細な解析を行う予定である。 5.その他:B.henselaeは血管内皮細胞の増殖促進作用を示すだけでなく,リンパ管内皮細胞の増殖も著しく促進することが明らかになった。また,本菌とリンパ節との相互作用において,CCR7,CCL19,CCL21などは関与していないと考えられる結果が得られ,これらのケモカインは診断上の利用価値はないと考えられた。
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