研究課題/領域番号 |
15590394
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
大橋 典男 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助教授 (10169039)
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研究分担者 |
伊吹 裕子 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (30236781)
内藤 博敬 静岡県立大学, 環境科学研究所, 助手 (30254262)
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キーワード | 新興感染症 / エーリキア症 / Ehrlichia chaffeensis / Anaplasma phagocytophilum / プロオミクス / 宿主応答 / 偏性寄生性細菌 / マダニ媒介性発熱疾患 |
研究概要 |
「ヒトエーリキア症」病原体のEhrlichia chaffeensisとAnaplasma phagocytophilumは1990年代に入ってから発見された新興感染症であるため、これらの病原体の細胞内寄生機構についての知見は乏しい。本研究では、A.phagocytophilumおよびE.chaffeensisをHL-60細胞にそれぞれ感染させ、感染率80%になるまで培養して感染細胞試料とした後、感染細胞と非感染細胞の全タンパク質をそれぞれ蛍光標識して、その差異を二次元電気泳動によりディファレンス解析した。そして、タンパク量に差異が見られたスポットについて、MALD-TOF/TOF-MSによりペプチド質量分析を行い、タンパク種の同定を試みた。その結果、二次元電気泳動で検出されたタンパク質スポットのうち、非感染細胞と感染細胞の間で量的差異のあるスポットにおいて、感染細胞のみに見られたスポットは病原体由来のタンパク質であると推察され、一方非感染細胞のスポットの位置と蛍光強度を基にして感染細胞で量的増減が見られたスポットは宿主細胞由来のタンパク質であると推定された。そして、主に宿主側のものと推定されるスポットをターゲットにして、これらのスポットのペプチド質量分析から、これまでにおよそ70個のタンパク種の同定に成功している。同定したタンパク質は、糖代謝系、翻訳系、各種酵素あるいは細胞内骨格系に関与するものなどであった。今後は、病原体の感染および増殖過程における同定した宿主細胞タンパク質の量的変動を計時的に解析し、感染機構に関与すると思われる宿主側の因子を絞り込んで行く予定である。これにより、エーリキアおよびアナプラズマのそれぞれにおける単球あるいは顆粒球に特異的な感染機構解明への足掛りも得られるものと期待する。
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