研究課題/領域番号 |
15590396
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
関矢 加智子 北里大学, 薬学部, 講師 (30050579)
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研究分担者 |
阿部 章夫 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (50184205)
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キーワード | ストレプトリジンO / 溶血機構 / 超微形態 / 分子会合モデル / SLO変異体 / 蛋白ドメイン / 孔形成細胞溶解毒素 / ネガティブ染色 |
研究概要 |
当該研究は、溶血レンサ球菌が産生するストレプトリジンO(SLO)によって代表される、特異的脂質を標的として生体膜に結合する孔形成細胞溶解毒素が、毒素を構成する4つの蛋白ドメインのレベルで、どのように生体膜へ結合後、会合し溶血を起すのか、1993年に発表した分子会合モデルと関係づけ、その機構を超微形態学的に解析することを目的としている。徳島大学の長宗秀明教授との共同研究により、毒素を構成する4つのドメインのドメイン2とドメイン3を-SSで架橋し、膜結合能と分子会合能は有するが、膜への貫入能が制限されたSLO変異体で解析した。ヒト赤血球ゴースト膜ならびにリポソームに、SLO変異体を作用した際と、その後、ジチオスレイトール(DTT)で還元処理した際の、膜貫入能の回復による像の変化をネガティブ染色し、透過型電子顕微鏡で観察した。SLO変異体を赤血球ゴースト膜に作用した際には、SLOを0℃作用時に観察される半巾の孔を伴わないリングが観察され、会合は、ほぼ全て正円状にまで進んでいた。その後、DTTで還元処理した際に、室温作用時に観察される孔を伴った巾の太い二重リングが、時間を伴って増加する様子が観察された。この所見は、フィルター電顕でのゼロロス像によるリポソーム観察において、再現された。 以上から、SLO変異体は、膜結合ドメイン4で膜へ結合した孔を伴わない一重リングの形態から、DTT処理によって-SSの架橋が外れ、ドメイン3が膜内に入り込み孔を形成し、巾の広い二重リングの形態として観察されることが証明された。以前報告したSLOの分子会合モデルの内外分子の基部と頭部は、それぞれ4つのドメインに相当すること、本毒素による溶血機構として、ドメイン3の膜貫入に伴う二重リング形成のコンフォメーション変化に温度の上昇が必要であることが、超微形態学的に証明された。
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