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2003 年度 実績報告書

感染におけるHMGB-1のサイトカインとしての役割

研究課題

研究課題/領域番号 15590397
研究機関北里大学

研究代表者

蓮沼 良一  北里大学, 理学部, 助手 (30104566)

研究分担者 熊沢 義雄  北里大学, 理学部, 教授 (30072375)
滝本 博明  北里大学, 理学部, 講師 (00253534)
キーワードHMGB-1 / エンドトキシンショック / S.typhimurium感染 / フラボノイド / ナリンジン / ヘスペリジン
研究概要

非ヒストンDNA結合タンパク質のHMGB-1については、サイトカインとして働き、ショック誘導の後期メディエーターであること、抗HMGB-1抗体の投与によるショックの抑制が報告された。しかし、我々はHMG-1の遊離が死亡直前であることから、後期メディエーターとして働かないのではないか考え、組換えHMGB-1を作製し、ショックにおけるその役割を明らかにすることを目的として本研究を行った。
His-tagによる精製が可能なpETとpQEベクターを用いてrHMGB-1生産株を作製した。rHMGB-1の発現が高い各1株を選択し、その回収について比較した。pETベクターを用いて作製した株のrHMGB-1発現は高かったが、Niカラムへの吸着が弱く回収率が悪かった。発現量はpETより少なかったが、pQEベクターを用いて作製した生産株菌体は、Niカラムを用いてrHMGB-1の回収率が良かった。さらにPBE94カラムを用いて精製した。次いでpolymyxin B担体を用いて混入するLPS量をできる限り除去した(1/500以下)。
得られたrHMGB-1の生物活性はLPS非応答性の腹腔内マクロファージを用いてTNF産生を調べたところ、pETベクターよりpQEベクターで作製した標品で高いTNF産生能を示した。また、ガラクトサミン負荷マウスに0.4mgのrHMGB-1を投与してもショックの誘導は観察されなかった。以上のことから、精製したrHMGB-1がnative HMGB-1と同等の活性を持っている場合には、後期メディエーターとして作用しない可能性が、あるいは、得られたrHMGB-1の活性がnativeなものより弱い可能性が考えられた。
大量のS.typhimurium生菌をマウス腹腔内に感染させることにより誘導されるエンドトキシンショックモデルにおいて、柑橘系フラボノイドであるナリンジンおよびヘスペリジンの抑制効果を検討した。感染2日以内に全てのマウスは死亡するが、ナリンジンの前投与によりショックの抑制が認められた。感染後18時間までは血漿中にHMGB-1を認めなかったが、感染24時間後のショック死誘導時期にHMGB-1が遊離した。それに対しナリンジンの前処理ではHMGB-1の遊離は認められなかった。感染モデルで柑橘系フラボノイド、ヘスペリジンのショック抑制効果を検討したところ、ヘスペリジンの前投与によりショック抑制効果が認められ、HMGB-1の遊離は検出されなかった。HMGB-1は感染によりひどく損傷した肝細胞から最終段階で遊離するが、ヘスペリジンの前投与は肝細胞の損傷を減らした結果、血漿中へのHMGB-1遊離が減少したと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Kawaguchi K., Kikuchi S., Hasunuma R., et al.: "Suppression of Infection-Induced Endotoxin Shock in Mice by a Cifrus Flavanone Naringin"Planta Med.. 70・1. 17-22 (2004)

  • [文献書誌] Kawaguchi K., Kikuchi S., Hasunuma R., et al.: "A Citrus Flavonoid Hesperidin Suppresses Infection-Induced Endotoxin Shock in Mice"Biol.Pharm.Bull.. 27・5(印刷中). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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